2015年4月12日日曜日

三鷹ネットワーク大学/語学体験講座「アラビア語」

講師:アジア・アフリカ語学院・石黒忠昭氏(文章は少し修正したが自分の友人のK氏)

今のアラブの状況はうまく説明できない。これまでとはつながらない。アラブの大半はオスマン帝国が支配していて英仏が入り込んできた。イラク、シリアという国を作ったのは英仏の都合だった。テーブルの上で話し合った。アラブの人のことは何も考えていないかった。

ある評論家は「何百年単位の大きな波だった」という。イラクは人工的に作られた。イラク王国の王はまったく別のところから連れて来たものだった。ISは「英仏が勝手に国を作ったのではあれば、自分たちもいいだろう」という論理。バグダディは「十字軍に対する仕返しだ」と。彼らは純粋なイスラムの国を作ろうとしている。彼らはイスラムを利用しようとしている。

IS地域にいる外国出身者は25000人。欧州からIS地域に渡った人はほとんどが移民の2世、3世。フランスの移民はほとんどがモロッコ、アルジェリアなどマグレブ地域出身。彼らの子たちは「仕事がない」「差別されている」と不満を持っている。

「十字軍の時代からのことが来ている」という指摘があり、そうなのかもしれない。アラブにはちゃんとした議会制民主主義の国はない。独裁者でないとアラブは収められない。「アラビアのロレンス」の中に「アラブは砂のようなものだ。ぎゅっと握っておかないと」というセリフがある。日本とは国の成り立ちがまったく異なる。

イエメンもリビアは大変なことになっている。カダフィはそんなに悪い人だとは思わない。サウジアラビアがひっくり返ると大変なことになる。しかしサウジだけは米国がしっかりと守る。石油が守っているから。

何か起きるとアラビア語を学ぼうとする人が増える。喜んでいいのかどうか。

通常、アラブ連盟の加盟国を「アラブ」と呼んでいる。アラビア語を母国語とする人はすべてアラブ人。イスラム教徒でないアラブ人がいる。エジプト人口の8%はコプト人(キリスト教徒)だ。「アラブ人=イスラム教徒」でない。アラビア語ができない人はアラブ人ではない。「アラブ」は言語で規定されている。こういう分類の仕方は珍しい。アラビア語を話す3億5000人のうち9割はアラブ人だ。

なぜそういう分類をするのか。彼らはアラビア語に強い愛着を持っているからだ。コーランはアラビア語で書かれているからだ。コーランこそが絶対的に正しいアラビア語の鏡だ。コーランは神が書いたものなので間違いはない(はず)。

イスラム諸国会議機構(OIC)に加盟する国は西アフリカにも多い。アラビア語はサハラ地域をどんどん南下しており、最終的にも飲み込まれてしまうのではないか。アラブから南米に移民する人が多かった。日本の比ではない。カルロス・ゴーンの両親はレバノン人で、彼はブラジルに移民した。

日本はイスラム教徒が最も少ない国の一つ。イスラム教徒は1万人程度。イスラム教徒になりたいと思ったことはない。豚肉を食べられず、ビールが飲めなくなるからだ。

「中東」の中に「アラブ」が含まれる。「イスラム」となるともっと広くなる。日本はアラブ世界と直接接触することはなかった。初めての接触は石油危機ではないか。第3次中東戦争で石油の輸出を止めたからだった。

イスラム教はわかりやすい宗教だ。神と人間の中間にいるのが「天使」。アッラーが天使ガブリエルが預言者ムハンマドにコーランを伝えた。イスラム世界にも「来世」がある。キリスト教に似て「天国に行くのか地獄に行くのか」の「最後の審判」がある。イスラムの考えでは「すべてアッラーが決めている」と考える。

信仰告白は「アッラーのほかに神はなし。ムハンマドは神は使徒」という唱えることで、イスラム国やサウジアラビアの国旗にも描かれている。

<以下、アラビア語自体の学習>

「アラビア語の文字は難しい」というのはうそ。毎日1時間も勉強すれば自分の名前ぐらい書ける。大文字・小文字の区別はない。通常、アラビア語のアルファベットは28文字しかない。文字の上下に付けられる「・」の位置や数が変わることはない。ずっと簡単。ただし文法は難しい。

<アルファベット>
1個めのアリフ以外はすべて子音。28文字のうち外国人が注意しないといけないのは以下のもの

6:Haは寒いときに息を手に吹きかける「ハー」
7:Khaは「いびき」のような「ハー」
10:Raは舌を震わせる巻き舌のような「ラ」
14から17まで: 重厚音と呼ばれるグループ。すべて日本語にはない音。
18:Aynのどの奥から出す「アイン」。
19:Ghayn はうがいの音。

20以降は、英語の音と同じ。

30のターマルブータ:3のTaがつながったもの。発音は同じで書き方が異なるだけ。「閉じたTa」と呼ばれることもある。女性形を表す文字で、女性の名はこれで終わることが多い。

22から25は英語のKLMNと同じ順番。これは偶然ではなく、フェニキア文字に由来する。アルファベットという言い方そのものが、最初の三文字、アリフ、バー、ターに由来する。

母音は書かないが、小学校の教科書では母音記号をつけることがある。コーランには必ず母音記号がついている(間違った読み方は許されない)。

アラビア語もアクセントはあるが、重要ではない。

ペルシャ語もアラビア文字を使うが、言葉はまったく異なる。イラクはアラビア語、イランはペルシャ語を使う。

言語としてはヘブライ語に近い。文頭に動詞、そのあと主語、そのあと目的語の順番。主語と動詞の順番を変えることも可能。名詞には格変化(主格、属格、対格)がある。

簡単な読み物が読めるようになるのに1、2年かかる。「アラビア語は暗記と根気と年期が必要」と言われている。